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ウィキペディアの執筆者、アラン・ソーンさんより

これまで私はウィキペディアに2,463項目を寄稿しました。すべて無償の仕事です。

本業はシステム・コンサルタントです。非常に大規模な財務処理システムの仕事をしています。ウィキペディアにこれまで費やしてきた時間を金銭に換算するならば、数十万ドルは稼げたことでしょう。

しかし、ウィキペディアでは金銭は動機付けにはなりません。そこには異なる「通貨」が通用しています。私やほかの何千人もの編集者が喜んで情報を提供し、ウィキペディアを作る。それは、情報を自由に入手できることが、私たちの世界を良くすると判っているからこそです。

もちろん、無料の情報提供のための基盤システムは完全に無償というわけにはいきません。だから年に1度だけ、私たちは皆さんから寄付を募っています。ウィキペディアには点滅したり、画面両端に表示されるバナー広告はなく、利用者に商品を売りつけようとすることもありません。ウィキペディアは商業的な取引に汚されていないメディアなのです。

これからも皆さんに情報が届けられるように、5ドル、10ユーロ、1000円など、余裕がある範囲でご支援をお願いできないでしょうか。

私たちの作業をずっと支えている基盤システムは、非営利組織のウィキメディア財団によって運営されており、無駄は一切存在しません。グーグルは100万台に近いサーバーを所有しているそうです。ヤフーでは1 3,000人ほどのスタッフが働いています。私たちが有しているのは、サーバー679台とスタッフ95人です。

ウィキペディアは世界で第5位のウェブサイトで、毎月4億5,000万人が利用し、ページビュー数は何十億に達します。

世の中の経済活動というのは誰もが金銭のために働くことで成り立っている、と思われています。給料も出ないのに、毎朝出社してくれるような人がいるでしょうか？

しかしウィキペディアでは、協力したい、より正確な知識を広げたいという意志が、かけがえのない情報源を作るための原動力となってきました。文化とは、最高額で落札した人だけに与えられるものではありません。ウィキペディアでは、公平で正確な情報を得ることができます。よく整理されていて、説明が豊富で、出典が充実しており、いつ見ても常に更新されています。

それが得られるなら、破格の買い物ではないでしょうか。

最後まで読んでくださって有難うございます。

アラン・ソーン
ウィキペディア執筆者